世界樹とともに、永遠に

9/13
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
 シドの服はボロボロに焼け焦げ、地面に突っ伏した顔は泥で汚れていた。黒い靄を纏い、息はあるけど顔を上げる力もなさそうだ。 「……ころ、せ」 「シド、黒龍の使役を解くなら浄化してあげましょう」 「クッ……、ククッ」  シドが笑うのをノードは無言で見ていたけど、ジゼルは何か気になるのかスンスンと鼻を鳴らした。 「おい、まずいぞ魔塔主!」 「先にい……く」   シドの手がだらりと地面に落ち、その手のひらから転がり落ちたのは羽と月のカフスボタン。直後、ゴウッと強い風が吹きつけノードはあたしを抱いて後ろに飛んだ。目の前に竜巻が出現し、それはシドを巻き込んで空へと伸びていく。ジゼルがあたしの服に爪を立てて風に耐えた。 「おい、シドは逃げたわけじゃないよな?」  イェルンがノードに聞いた。 「違います。彼は死にました」  ノードの声は動揺で掠れている。 「おい、魔塔主。どうするんだ。あのカフスの毒がないと黒龍を止められないぞ」 「わたしとウィローであの額のマナ石をどうにかします。闇属性で対応するしかありません」
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!