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第3章 徳川家にて…
変化の術を施したシャオランはどこからどう見ても千姫にそっくりでございました…。
徳川家康「千、さぞや恐い思いをしたであろう…。徳川に帰って心に出来た深い傷を癒すが良いぞ…」
孫娘の千姫を溺愛している家康をひと目見たシャオランは同じく咲耶を溺愛する岩爺の事を思い出しました…。
シャオラン『岩爺、元気にしてるかな?ネムも時を越えた先で怪我とかしてないかな?』
思い出すのは仲間達の事ばかりで…
恐い思いをし過ぎたシャオランは
急に涙が溢れて止まらなくなりました。
シャオラン「ヒック…ヒッグ…」
家康「千よ…そんなにそちが泣いてしまうとお爺も辛くて堪らぬ…。」
こうして…千姫に変化したままのシャオランは急ぎ江戸へと向かう事になりました…。
本多忠刻「姫様…。船で三河へと向かうのですがこの度船頭をさせて頂く事になりました本多忠刻と申します…。」
シャオランは本多忠刻の美形な顔を見つめながら固まってしまいました…。
シャオラン『甲賀の里には岩爺とコンガしか男がいないし…こんな美形がこの世に存在している事すら知らなかったわ…』
岩爺は咲耶の祖父なので年齢とかその他諸々踏まえても当然ながら男として見られるはずもなく…はっきり言えば友達の爺ちゃん…
かたやコンガはと言いますと…
シャオラン『コーチとしてはそれなりに優秀だけど…顔とかその他諸々踏まえても好みじゃないのよね…』
シャオランが頭の中で色々分析していると
船は三河の陸地へと到着し…そこには…
江「千!良くぞ無事に帰って来ました…」
千姫とシャオランが変わった事など知るはずもない江姫が輿に乗って千姫を迎えに来ておりました…。
シャオラン「母上様。
ただいま帰りました。」
シャオランも娘さんと入れ替わりました…だなんて言えるはずもなく千姫が言いそうであろう言葉を江姫に告げました…。
江「お帰りなさい…千姫」
こうしてシャオランは徳川家の姫君として
江戸へと向かう事になってしまいました。
シャオラン『姫君なら恐い思いはしなくて済みそうね…』
シャオランは機嫌良さげに城へと向かいましたが将軍家の娘たるもの行儀作法1つすら煩く言われてしまい…
シャオラン『実に面倒だわ…』
忍者は影で姫君は光…。
はっきり言うと生きるべき世界が綺麗さっぱり分かれていました…。
しかし…
乗り掛かった船から途中下船するなど
聞いた事もありませんし…
シャオラン『まさか…私は千姫ではなく、
千姫が秀頼と殉ずる為に変化させただなんて言ったらあたしは生きていられない…』
まさか…忍者だっただなんて言ったら
「敵方の間者か?」だなんて言われて…
とても恐い目に遭わされる…なんて…事に…
シャオラン『冗談じゃない!こうなった以上甲賀の里に戻る日が来るまで自らの命は自らで守らなきゃ…』
シャオランはとても恐がりなのですが、
しっかりしている所もあり戦場のど真ん中に出なかっただけマシだと思い…千姫の身代わりとして生きる事を心の中で誓いました…。
それから時は早いもので1年の月日が流れ
西暦1616年06月01日。
戦国乱世を治め泰平の世に導いた大御所
徳川家康はその生涯を閉じてしまいました…
秀忠「幕府の大御所がまさか…鯛の天ぷらにあたり腹を壊してそのまま亡くなってしまうなど前代未聞じゃ…」
秀忠は家康の質素倹約を好む性格を重んじて
葬儀も極力質素にして彼を死出の旅へと送り出しました…。
家康の死後、
千姫に対する遺言が明らかとなりました。
それは…
シャオラン「私が本多忠刻殿の元に嫁ぐのですか?」
千姫の従姉である熊姫〈=秀忠の異母兄である信康と徳姫の間に産まれた娘〉が産んだ本多忠刻に嫁げとの事でございました…。
シャオラン「嘘でしょ?」
あの時、
本多忠刻にひと目ぼれしたシャオランは、
喜びを抑えきれずにいましたが…設定上
千姫は秀頼の事を忘れられず苦しんでいる
設定なのでニコニコ微笑んでいたらそれこそ
疑われてしまいます…。
しかし…
江戸にいる徳川家の関係者は皆、
意外に素直な性格をしているのか…
それとも姫を信じているのか…
雪菜…シャオラン付きの侍女で年齢もそこそこ近いのでシャオラン的には友達感覚で接する事が出来る人と認識している。
雪菜「姫君に置かれましてはまだ気持ちの整理を付けられてない御様子。嘘だと思いたいお気持ちも十分承知しております。ですが…前に進むしか方法がないのです…。私も共に行けと仰せ下さるのなら共に参ります…」
全く逆な受け取り方をされてしまったシャオランではございましたが…
シャオラン『しかし…あまりうっかりしてしまうと素性を知られてしまいそうだわ…』
前述しました通りそこそこ…それなりに
しっかりしていますので…
シャオラン『お祖父様の仰せならば仕方ありませんわ…』
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