一輪の薔薇

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「り、龍…」 あぁ、恥ずかしい、恥ずかしい。 久しぶりのデートだぞ。 何してんだ私っ! 「…美愛、なんでもいいから話してごらん」 ぽろり ぽろり 大粒の塩水を流しながら龍にすべてを話した。 私の脳内のスクリーンはものすごい速さで変わっていく。 でも、龍はあのときと変わらない。とても優しいし、誰よりも私のことを考えてくれている気がする。 「じゃあ、今度みんなでファミレスとかで同窓会とかしよ?そしたらまたみんなと会えるよ」 「うん」 「ーーーもしかして、俺のことで悩んでた?」 「え、いや…」 「正直にいってごらん」 龍の優しさに包まれてせっかく止まった涙がまたあふれてきた。鼻水も止まらない。とんでもない醜態を龍に見られてしまう…。 「ありのままの君をみせて。嘘はなし!悩みを一人で抱え込むのもなし!」 「ーーー私より可愛い子なんていっぱいるし、私、龍と別れなきゃいけなくなるか不安で…」 涙声で、正直に言った。 「そうだったんだねーーーはい。これ」 それは鼻をかむティッシュでもなかった。 「一輪のーーー薔薇」 「わぁ…綺麗」 美しい龍のプレゼントに驚いた。 「この、一輪の薔薇の花言葉はね、『あなただけ』だよ」 「龍ーーー疑っちゃってごめん」 あぁ。私の今までの不安がバカらしく思えてきた。龍はこんなに素敵な人なのに。 「いいんだよ。学校が変わって、会えなくなって、心配になるのは当然だよね。俺こそ、心配させてごめん」 私たちはゆっくりと口づけをした。
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