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 座間警察署に到着すると、雅は助手席にいる織田に目をやった。  車に乗ったらすぐ寝ちゃうクセ、何とかならないかなぁ……。  どうも、織田と組んで動くようになると、溜息の回数が増えてくる気がした。  「着きましたよ。起きてください」  シートベルトを外しながら声をかけた。  「ん? 憑いた? 何が?」  まだ眠そうにしながら織田が訊いてくる。  「たぶん変換した字が間違ってます。座間署にっ! 着きましたっ!」  ビシッと声を響かせる雅。  織田は大げさに体を仰け反らせた。  「もうちょっと静かにできんのか? 君の脳内には、お(しと)やか、という概念はないらしいな」  「警部が相手だからそうなっちゃうんですよっ!」  ムッとしながら外へ出る。織田も続いて助手席側から降りてきた。  ちょうどその時、もう一台乗り入れてくる。雅達から少し離れた場所に停車した。  運転席側から捜査員らしい女性が降りてきた。おそらく年齢は雅と同じくらいだろう。スッキリした紺のスーツがよく似合い、セミロングの髪が風になびく様は可憐さを感じさせる。どちらかというと小柄だが存在感があるように思えた。  雅はしかし、その女性を見て別の意味でハッとなる。  この人は、もしかして……?  相手の女性も雅を見た。視線が合う。すると、なにかを感じたようで「あっ」と声をもらし息を呑んでいた。  2人して立ち止まってしまう。
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