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 「は、はい。交通課に所属している、北見響希巡査です」  今度こそ、きちんと敬礼して応えた。  するとその男性は「ほおっ」と何かを思い出し、納得したような表情をした。  「なるほど、それでか……」  「え? 何がそれで、なんですか?」  「私は織田賢一。県警では『特異未解決事件捜査班』という部署に属している。といっても、まだ正式には私1人だがね。北見君だったね。なにか『人ならぬもの』による困難に見舞われているなら、いつでも相談しなさい。力になれるかもしれない」  それだけ言うと、彼は「じゃあ」とでも言うように手をあげ、捜査本部の方へ向かって歩き出した。  「人ならぬもの……?」  思わず口ずさむ響希。  あの人は、私を見て何かを感じとったのだろうか? いったい何者だろう?  織田が会議室へ入っていくまで、その姿を目で追っていた。幼少期の出来事、そして2年前の事件を思い出し、胸の奥がざわつく。  い、いけない。こんなところで突っ立てたら邪魔だ……。  気をとり直し、交通課の方へ向かおうとした。すると今度は、玄関から入ってきた2人組の男性に気づく。そのうち1人と視線が合った。  あっ!  目を見張る響希。相手も驚いて立ち止まる。  「響希……。い、いや、北見さん……」  一馬だった。息を呑みながらも微かに笑みを浮かべている。  「ひ、久しぶり」  軽く手をあげて応えた。  一馬と一緒にいた男性がチラリと視線をよこす。そして「先に行っているぞ」と言って捜査本部の方へ歩いて行った。  「はい。すぐ行きます」  そう応えながら響希のそばまで来る一馬。
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