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「どうする、こいつ?」
1人が獣のような目をしながら言った。
「いい女じゃねぇか。逃げる前にやっちまおうぜ」
い、いやっ!
必死に暴れる響希。すると男たちは、彼女の上体をいったん起こす。前の男が頬を張った。更に別の男が拳を腹部に打ちつける。
「あうっ! あうぅっ!」
悲鳴をあげて蹲る彼女の首を、もう1人が後ろから締めあげた。
く、苦しい……。
意識が遠くなっていく。
「おい、殺すなよ」
「わかってる。一旦眠らせるだけだ。目が覚めたら真っ裸ってのも面白いだろう?」
消えゆく意識が絶望感に染まる中、そんな会話が微かに聞こえてきた。
だんだん力が抜け、抵抗していた腕がだらりと下がってしまう。
もう、だめ……。
気を失う寸前だった。妙な音が聞こえてきて、愕然とした。
ガチャガチャ ズルズル ガチャガチャ ズルズル……。
あ、あれは……!
一瞬走馬燈のように、子供の頃一馬と忍び込んだ蔵での出来事を思い出す。あの時と、同じ音だ……。
ガチャガチャ ズルズル ガチャガチャ ズルズル……。
「な、なんだ? なんの音だ?」
「誰かまだいるのか?」
男たちが戸惑っている。そして……。
「ばっ、化け物っ!」
「え? う、うわぁっ!」
悲鳴をあげる男達。
だが、響希はそれらを聞きながら、ぐったりと倒れ込む。意識は途絶え、何もわからなくなった。
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