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 目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。襲われてからまる一日経った後のことだ。  ショックを受けているだろうという事を鑑みてくれて、彼女がしっかりと意識をとり戻し話ができるようになるまでは、事件には誰も触れなかった。  男達が強盗殺人犯であること、そして響希を襲った後に3人とも殺害されていることはしばらくして知った。  男達の死体の状態がかなり酷いものだったというのは、更に日々が過ぎてから聞いた。  当然響希も聴取をされた。  ガチャガチャ、ズルズル、という音に聞き覚えがあったことは伏せたが、それ以外は全部話した。  しかしその内容については、参考程度に扱われたようだ。いきなり襲われパニックとなり、しかも首を絞められ意識朦朧としていたということで、冷静な状況認識力を欠いていただろうと判断されたのだ。  仲間割れで殺し合い、最後に残った者も結局ダメージで命を失い、その後に何者かが、あるいは野生動物の(たぐ)いが死体を損壊したのではないか、と疑問の残る見立てがされ、それについては未だに結論が出ていない。  だが、響希はあの時の「ガチャガチャ、ズルズル」という音が朦朧状態からくる幻聴だとは思えなかった。17年前に聞いた、骸骨が鎖を引き摺る音と全く同じだったのだ。  後日、その疑問は解消された。同時に愕然とした。やはりあの蔵でのことからつながっているとわかったからだ。  そして自分は……。  響希はもう一度捜査本部の方に視線をやり、深い溜息をついた。
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