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骸骨が歩いてくる――。
ふくめつ。ふくめつ。ふくめつ……。
無機質な声が大きくなってきた。それも複数……。
な、なんだ、これはっ!?
竦んでいた足をなんとか動かし、逃げ道を探す野中。
しかし、後方を見ると更にもう一体の骸骨が迫ってきていた。そして、別の方からも……。
骸骨に囲まれていた――。
「ひっ、ひいぃっ!」
野中の悲鳴が闇に轟く。
骸骨達は全く意に介さず近づいてくる。そして、それぞれのまわりに異様に黒く光る霞のようなものを纏い、姿が大きく膨らんだ。目だけが赤く光っている。
巨体の黒い鬼のようだ――。
ふくめぇ~~~~つ!
その不気味な大声とともに、黒い霞を纏った骸骨達が一斉に野中に襲いかかった。
一体が首筋に齧りつく。別の骸骨に右手を引き抜かれる。もう一体は腰に食らいついてきた。
地に倒された野中は解体され、喰われていく。意識も命も削られ、そして消えた。
骸骨から黒い化け物となったもの達の肉にむしゃぶりつき血を啜る音が、いつまでも闇の中に流れ続けた。
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