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6
雅と織田は、座間署に設置された捜査本部へ赴き事件の概要について聞き、記録などを見た。その後、鑑識係にも顔を出して説明を受ける。
たぶん、織田がこちらの事件を良く認識させるために自分を連れてきたのだろう、と雅は感じた。
一通り終えると2人して座間署の資料室に行く。やっぱりこちらでも資料室なのか、とおかしく思ったが、ここにいればいろいろな情報を掴めるので、理に適っていることは確かだ。
「とりあえず直近の2件の惨殺遺体事件について、君はどう感じる?」
イスに座るなり織田が訊いてきた。
「やっぱり、これが殺人だとしても遺体損傷のみであったとしても、同一犯だと思います。人か動物か……あるいはどちらでもない、いわゆる『人ならぬもの』なのか、今の段階ではわかりませんが」
うむ、と頷く織田。
「被害者2人がどちらもジャーナリストであるというのも、偶然かどうか……?」
雅は考え込む。3人同じというのなら、それは偶然ではなく必然である可能性がかなり高い。だが、2人というのは微妙だ。
織田が難しそうな表情で呻る。その横顔を見つめる雅。彼は先ほど「直近の2件」と言った。つまり、以前に似た事件があるのだ。そもそも、彼がこの2件に積極的に関わってきたのもそれが理由だろう。
「被害者の職業については、私はこれまでたいして着目してこなかった。それは不覚だったな。今、公安が動き出しているのがなぜなのか……そのヒントが、そこにあるのかもしれない」
「これまで、この2件と似たような事件があったんですね? それは、先ほどの北見響希さんの件も含めてですか?」
雅が身を乗り出して質問する。彼女のことは気になった。どういう状況か知らないが、怪異に巻き込まれているなら救い出したい。
「いや、北見君の件については、本人と偶然出会ってから共通性について思い出したところなんだ。それ以外に3件、似たものがある」
織田はパソコンを起動し、データを呼び出した。
被害者の1人は野党の国会議員、もう1人は大手興信所の調査員、そして3人目が新聞記者……。
死体の状況については公にされていないようだが、警察のデータではその酷い様子が克明に記録してある。
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