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 「僕は美樹本さんのことを尊敬もしているんですよ?」  志郎の言葉に思わず胸がきゅんとなる。素敵すぎる男性。唯一の難点は、あのオヤジ、いや、織田警部の息子ということだけ……。  雅が舞い上がってしまい何も言えなくなっていると、志郎は更に一歩踏み出してきて、顔をのぞき込むようにしてくる。  「少しお時間いいですか? ちょっと話が……」  「は、はい、喜んで……」  父親の方の織田がいたら「君は居酒屋のバイトか?」とでも言われそうな返事になり、顔を伏せる。しかし、志郎はそんなことは気にせずに「こちらへ」と促した。  いけない、シャンとしないと……。  気を引き締め直す雅。ここで彼が話があるというのは、おそらく動き出した特異未解決事件捜査班に関することだろう。  エレベーター前のホール、自動販売機や椅子などが置かれている一角に来た。今は他に誰もいない。2人は窓際に立ち、揃ってみなとみらいの夜景を見る。  志郎はしばし目を伏せていた。どう話せばいいか悩んでいるような感じだ。  「あの、もしかして、特異未解決事件捜査班の今の活動を、快く思っていないんですか?」  思い切ってこちらから訊いてみた。織田の話から推察されることだ。  「快く思っていないわけではありません。ただ……」  応えながらも、志郎はますます難しそうな表情になっていく。  「ただ?」  雅が下から顔を見上げるようにすると、彼はハッとした。一瞬視線が合うが、すぐに逸らす。
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