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16.結婚式はサプライズで挙げても良いのですか?
「要らぬ憶測とは、例えばエドワード王子の自作自演だとかそういう話ですか?」
私は昼間の演説でライ国に対してなんの贔屓も期待しないで欲しいと言った内容の話をした。
エドワード王子がルイ国の国王の婚約者である私を誘拐から助けたら、当然ルイ国はライ国に借りができる。
「その通りです。そのことをイザベラ様は望んでませんね。今、この件を知っているのは少数の人間です。要人を誘拐されそうになった警備不良でルイ国に責任があるとして、祝いの場で騒ぎにしないよう口止めをしています。しかし、何か騒ぎが起きていると感じ取り、その騒ぎの元を知ろうとするものが現れるかもしれません。その為、今からもっと話題になるようなことが、行われることになりました」
「話題になることとは、花火でも打ち上げるのですか?」
「イザベラ様、外は猛吹雪です。外に出てはいけないと兄上から言われませんでしたか?今からルイ国の700年の歴史を変える行事が行われます。18歳の私とエリスの結婚式です。兄上はサム国のように男性が18歳、女性が16歳で結婚できるようにしようと国王になる前から企んでいました。しかし、昼間あなたが兄上と結婚する気は全くないと宣言したことで、男女とも18歳で成人し婚姻が結べるというように本日法改正されました。兄上はあなたの心の準備が整うのを2年は待つつもりのようですよ。ルイ国では21歳が成人で婚姻できる年齢だったので、法改正されて初めて結婚するカップルが私と、エリスです」
私はサイラス様にしっかりと外に出てはいけないと注意されていたことを思い出した。
外に出た上にトラブルまで起こして、彼の大事な日に迷惑をかけてしまった。
「今は何時なのでしょうか? 今から結婚式を挙げるのですか?」
猛吹雪の中エドワード王子と話しをていた時、外はもう暗かった。
「そろそろ舞踏会が終わる頃です。舞踏会の終わりにサプライズで結婚式を挙げるよう今準備がされています。私は兄上からサプライズ結婚式を挙げるよう言われた時、流石にそれはエリスの準備ができていないので無理ではないかと言いました。そうしたらなんと、エリスはこのような事態も予測してウェディングドレスまで用意していたのです。それどころか、明らかに私とすぐに結婚ができると嬉しそうにしています。おそらく、予定より早く私が自分のものになるとほくそ笑んでいるのでしょう。彼女は本当に私のツボです。イザベラ様はここで寝ていて大丈夫ですよ。兄上が時期に来ると思います。兄上は今日国王になった自分や話題のイザベラ様がいると主役の2人に注目が行かなくなるから、式への参加はメッセージだけにするという展開に持っていくようです」
「結婚式はサプライズで挙げても良いのですか?」
「前例はないですが、実は会場には私とエリスが結婚したら招待するだろう客が皆います。本来ならば、彼らをもてなす準備を何ヶ月も前からしなければなりません。それを全部カットして歴史的な式を挙げられるのだから、かなりお得です。招待客も大して面識もないのに付き合いで片道1ヶ月くらいをかけて、私たちの結婚式に来る手間が省けます。国中が注目されている今日結婚式を挙げることで、以前から国民に疑問があったルイ国の成人年齢と婚姻できる年齢が変更されたことの国民への認知もはやくなります」
トントン。
その時扉をノックして、ウェディング姿の幸せそうなエリス様が現れた。
いつになく幸せそうにライアン王子の隣にきた彼女に胸がいっぱいになる。
「エリス様、ご結婚おめでとうございます」
私は感極まりながら彼女に伝えた。
「ありがとうございます。イザベラ様。私はあなたと家族になれると思うと幸せです」
ずっと頼り甲斐のあるお姉さんのように思っていたエリス様が私の義理の妹になるのだから不思議な気分だ。
「エリス、疲れているでしょうから、今日は初夜はなしにしましょう」
ライアン王子が唐突にドキッとすることを言うので、思わず私はエリス様の反応が気になってしまった。
「ふふ、ライアン、そんなものは一連の式典が終わってからで十分です」
「嬉しそうですね。いずれにしろ、これからは私はあなただけのものです。頼りになるパートナーを得られて今最高に幸せです。エリス、あなたのことも幸せにするので覚悟してくださいね」
いつも淡々としている、ライアン王子が甘い笑顔でエリス様に微笑みかけてて幸せな気持ちになる。
「そんならしくもない事言わないでください。せっかくメイクし直したのに泣きそうになります⋯⋯」
「表情管理な完璧なエリスが泣いたら泣いたで、話題になるのでそれも良いと思いますよ。では、参りましょう」
「では、イザベラ様、ゆっくり休んでくださいね!」
ライアン王子にエスコートされて、エリス様が幸せそうに部屋を出ていく。
「ありがとうございます。ライアン王子、エリス様お幸せに」
私は2人のこれからの幸せを願った。
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