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これからの世に必要な理論。それが纏美神化主義
●第一章 纏美神化主義、これからの世に必要な理論
真っ暗闇が一面に広がっている。ここはどこだろうか。
そうだ俺は死んだのだった。きっと今は、皆の生きる地の中にいるだろう。
実際に死んでみると、山の湧き水みたいにふるりと澄んだ心境になっている。後悔という感情は微塵もない。
全て出し切った。正直、あれ以上生きたところで俺の主義主張は一生受け入れられなかっただろう。
俺は纏美神化主義という思想を広めようと苦心し生きた。内容はざっくり示すと次の通りだ。
・自身の生活に美を取り入れ、性別を超えた神秘的な美を纏い、各々が人間離れした存在、つまり人から離れ、美を表現する作品的になるべき。
・人々が確固とした美意識を手に入れて作品的になり、魅力を得ることで世間から醜さが減り、お互いに生きやすくなる。
・自らも相手も作品と意識することで、人同士の関係も作品同士の価値の示し合いとなり、各々の価値の向上を目指す意識が根付く。
・今価値がない者でも、作品作り次第で価値を得られる真理を、当然の理とできる。
・価値作りが当然の考えとなって、多くの者にとって心の拠り所となる。今が駄目でもきっとこれから価値が得られるという思考が当たり前になる。
・上記のため、纏美神化主義を主張することで、向上欲のある者だと世に示せる。それだけでも価値を得る。
世の中の汚れに悩み苦しむ人々。自らの魅力のなさに悩む人々。何か価値が欲しいと思っている人々。皆に向けて俺は主義主張を唱え続け、救っていきたい。
家の中で何もできずに自己嫌悪に陥って悶えている人々。
何者かになりたいのに目標が見つからずに、普通の人生が一番と自らを騙し続けている人々。
街を歩いているだけで他人が楽しそうにしているのに腹が立つ人々。
若い人たちが頑張って評価されている姿を見て悔しくて涙をこぼす人々。
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