6.あなたは無防備すぎます。

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6.あなたは無防備すぎます。

「ミリア、あなたは無防備すぎます」 レナードが少し怒っている感じがして私は不安になる。 「すみません。なんだか、皇宮の雰囲気が急に変わりましたね。新しい風が入ってきたというか。さっきの子はレオのお兄様だそうですよ。爽やかな子で安心しました」 私が言うとレナードは暗い廊下の端に私を追い込み口づけをしてきた。 確かに今周りに人通りはないけれど、天井裏に誰かが潜んでいて見ている可能性だってある。 「ん、待ってください。レナード。ここは皇宮ですよ。誰が見ているかわからないのに、だめです。あなたらしくないわ、やめてください」 本当に彼らしくなくて、心配になってしまう。 私は彼を思いっきり押し返そうとするがうまくいかない。 もっと抱き込められてしまい深い口づけをされてしまう。 「お腹が空きました。レナード」 息継ぎの合間になんとか言うと、レナードは私を抑えつけるのをやめてくれた。 「せっかくなので、外に食べにいきましょうか?」 レナードが微笑みながら言ってきてホッとする。 「午後から貴族会議ですよね。皇宮の食堂で食べませんか? その方が時間にゆとりがありますし⋯⋯」 外に食べに行ってしまうと時間にゆとりがなくなるので、提案するとレナードは受け入れてくれた。 私は、アラン皇帝陛下の体制になってから皇宮に来るのが初めてで様子が変わってしまって戸惑ってしまう。 「なんだか、エスパル出身の方が多くないですか?」 エスパルは単一民族国家でみんな水色の髪色に水色の瞳をしている。 帝国にはない髪色と瞳の色のためすぐに分かってします。 「実は、帝国の要職の4分の1がエスパル出身者になったようですよ。エレナがエスパルの人間は知能が高いと言っていたのは本当でしたね」 レナードが私の耳元でひっそりと囁いていくる。 エスパルと言えば、元敵国と言っても良いのに4分の1も要職に採用するなんて大胆だ。 でも、今後他国を帝国領土にしていく上では、他国民にとって元敵国の人間も平等に扱ったというアピールにつながりそうだ。 「アーデン侯爵、侯爵夫人お久しぶりです」 聞き慣れた声に振り向くと、そこには私が4年間共に過ごした黒髪に苔色の瞳をしたサイラス・バーグがいた。 「お久しぶりです。バーグ子爵。爵位を継承されたようでおめでとうございます。夢も叶えたんですね!」 サイラスは成人すると同時に爵位を継承し、この度の要職試験て政府の要職になっている。 徹底的な能力主義は彼のような人にはとてもありがたいことだろう。 「ありがとうございます。アーデン侯爵夫人。アーデン侯爵、これからもご指導ご鞭撻の程をよろしくお願いします」 サイラスは軽く会釈をすると去っていった。 名前で呼び合い、4年間一緒の時で過ごしたのが遠い昔のようだ。 彼が夢を叶えたのは嬉しいけれど、他人行儀な挨拶に少し寂しくなった。
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