リ・スタート

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リ・スタート

 神様のたまごが、一人前の神様になるための最終試験。  それは小さな世界を与えられて、上手に管理できるかどうかを試すというものだった。神様のたまごを育てる学校を主席で卒業した僕も、まさに今その試験を受けるところというわけだ。  ちなみに、神様のたまごはみんな子供の姿をしていて、僕も例外ではない。人間でいうところの、十二歳くらいの姿である、らしい。一人前の神様になれた時初めて大人の姿に成長できるというわけだ。 「リイン、よく聞きなさい。これは試験ですが、ただの試験ではありません」  僕の教官であるフラウ先生は、長い銀髪の美しい青年の姿をしている。かつて先生も同じ試験を受けて、一人前の神様に認められたという。  先生は手の上に、小さな地球を乗せて言ったのだった。 「貴方にとっては試験でも、この世界の住人達にとっては試験ではありません。起きること全てが現実で、本物です。そして、貴方はこの小さな世界の神様。この世界において、貴方は人間より遥かに多くのことができます。人を殺すこと、人の心を操ること、時間を巻き戻すこと、思いのままです」 「はい、心得ております」 「神様で何でもできるからといって、何でもしていいわけではありません。人間の可能性を見つめ、成長を促し、可能な限り最小限の干渉で最高の世界を作ること。それがこの試験の内容です。完了した暁には、私に世界を見せにきなさい。いいですね?」 「了解しました、お師匠様」  僕はまだ神様のたまごだけれど、それでも神様になるための学校を一番で卒業した“最も将来有望な神様候補”なのだ。  小さな世界を美しく作り上げるくらいわけがないこと。その時は、そう思っていた。
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