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1-4
陽菜は、両膝を胸につけて丸くなって座っている。
叔母が彼女についての話を教えてくれる。
時折、苛立ちを見せながら彼女が反論する。
空気を乱さないよう、適切な反応を続けた。
彼女に肩入れしすぎないよう。
叔母の味方でもないように。
退屈していると思われることを嫌い
何度か言葉を発する時期もあった。
然し、幾度となくこの家に足を運ぶことで、
いつしかその懸念を払拭した。
彼女たちは、喜んで私に話して聞かせる。
私も喜んで受け入れた。
「陽子さん、お昼はどうしましょう。」
祖母がそういって、キッチンへ向かい
冷蔵庫を開ける。
「素麵があったはずよ、この間お父さんが貰ってきましたの。」
そういって立ち上がった。
私は嬉しかった。
素麵が好きなわけではない。
食べたいものを聞かれなかったことが嬉しかった。
欲を伝えるのはどうしても躊躇ってしまう。
善意の前に無欲を転がすことも恐ろしいことだ。
食べたいものを伝えられなかったことで後悔したことはない。
幼さを盾にできるなら、
素直に欲を衒うのではなく
黙して享受する立場に甘んじたかった。
私はこの上なく欲深い子供だった。
「祥貴。ご飯食べたら、外に行こう。」
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