ジャムよりも甘く

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 思わず俺は声を上げ、目を丸くした。そこには苛立たしそうに眉を顰めているユイフェルの姿があったからだ。 「……っ、ユイフェル」  夢ではないのだろうかと驚いていると、入ってきたユイフェルが大きく溜息をついた。 「具合でも悪くて寝込んでいるのかと思ったら、暢気にお茶を飲んでいるんだから、僕はイラッとしちゃったよ。なんですぐに出てきてくれないの?」 「……ユイフェル!」  立ち上がり、俺は扉の前まで早足で言って、思わずユイフェルに抱きついた。すると今度はユイフェルが驚いた様子になり、両腕で俺を抱き留めた。 「会いたかった……っ、会いたかった……」  俺の声には、涙が混じっていた。するとさらに驚いたように息をのんでから、ユイフェルが片腕に力を込めて俺を抱き寄せてから、左手で俺の頬に触れた。そして涙を拭うと、やっと優しい顔に変わった。 「ごめんね、連絡ができなくて。ただ、そんなに会いたいと思ってもらえているとは思わなかったよ」 「……っ、も、もう、来ないのかと思った……」 「そんなことはないよ。毎日、本当は僕だって来たかったんだ」 「でも来なかった」 「それはね、教会に客人が来ていたんだよ。だから開けられなかったんだ」 「そ、そうだったのか……客人……」  俺が小さく頷くと、俺の額にキスをしてから、ユイフェルが両頬を持ち上げた。 「王都大聖堂からの使者でね、僕に王都へと戻ってこいと言うんだよ」 「えっ……じゃ、じゃあ、村から出て行っちゃうのか?」 「そうなるね。教会の人事は絶対だから」 「そっか……」  ではまた、すぐに会えなくなるのか。しかも今度は、俺は村から出て会いに行くお金もないから、きっと永遠に会えなくなるのだろう。王都から遠く離れたこの場所に、聖職者という仕事があるユイフェルが会いに来てくれるとも思えない。 「それでね、前々から保護対象であるケーキ――つまりきみを見つけた報告は、教会にもしていたんだけど。ほら、僕が色々持ってきたのも、きみが保護対象だからさ」 「……うん」
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