恋する食べ物?

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「それは俺も同じだ。俺はお前にずっと片想いしていたんだからな。俺はお前が好きだ。オリビアを食べ物だとは思っていない。俺にとってオリビアは、大切な恋人だ」  ラークの顔が、怖くなった。真剣すぎる瞳に射貫かれて、僕は息をのむ。 「お前をこの部屋に閉じ込めているのが何故だか分かるか?」 「いつでも食べられるようにでしょう?」 「違う。言っただろう、俺は嫉妬深いんだ。嫌なんだ、お前が店で、他の奴らに笑いかける姿を見るのが、心底。お前の笑顔は、俺にだけ向いていればいい。たとえ笑顔でなくとも、お前が見ているのは、俺だけでいいんだ。俺はお前が好きすぎて、おかしくなりそうなんだ。いいや、もうなっているという自覚はある」  不機嫌そうなその声に、僕は瞠目した。それから小さく首を傾げる。 「本当に、僕のことが好き?」 「ああ」 「……っ」  嬉しすぎた。今度は感極まって、僕は声を上げて泣いた。すると困惑した様子で、ラークが僕を覗き込んだ。 「俺に好かれるのは、そんなに嫌か? 怖いか? 迷惑か? だろうな」 「違うよ、嬉しくて……っ……嬉しい。嬉しいんだよ」 「!」 「僕もラークが好き! 大好きだ!」  思わず叫ぶように言うと、ラークが虚を突かれた顔をした。  それから手をぎこちなく動かして、僕の涙を指で拭った。それを口で舐めとってから、ラークが言う。 「本当か? ここから逃げたくて、適当なことを――」 「違うよ! 僕は、ずっとここにいてもいいよ。そ、そりゃあ、本当は僕だって、ラークとデートしたりしてみたかった。今もそう思ってる。だけど、でも、ラークがそばにいてくれるなら、それだけでいいんだよ。好きなんだ」  僕が大きな声でそう続けると、ラークが不意にギュッと僕の体を抱きしめた。 「俺はな、お前が俺の元からいなくなったらと思うと、不安でたまらないんだ。お前がいない世界なんて、俺には灰色だ。俺の方こそ、お前がそばにいてくれない世界に価値は見いだせない。だから、ずっと俺のそばにいてくれ」 「僕は、絶対に逃げないよ。だって、ラークが大好きなんだもん」 「好きの重さが違うんじゃないか?」 「え?」 「俺はオリビアを愛しているんだ」 「僕だってラークを愛してるよ! だから、どんなことをされてもいいんだよ!」 「――本当だな?」 「うん!」 「信じていいのか?」 「うん!!」
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