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皿に盛り付けが終わったので、僕はトレーに載せて、料理をラークの前に置いた。
「どうぞ」
「ありがとう、オリビア」
ラークが銀色のスプーンを手に取る。ゆっくりと上品に食べる姿も絵になる。
僕はラークが初めてこの店に訪れた三年前から、片想いをしている。惚れてしまった契機は、僕が料理を運んでいた際、足がもつれて転びそうになったところを、抱き留めてくれたことだ。力強い腕に腰を抱かれて、僕はラークの胸板に額を預けた状態になった。その体温があんまりにも心地よくて、僕はラークに惚れてしまった。
あれから三年であるから、今年でラークは二十四歳だ。僕と同じ歳である。
料理を味わっているラークを見ながら、僕は考える。
――片想いは、辛い。
けれど、気持ちは押し殺すしかない。この気持ちが露見したら、ラークはもう来なくなってしまうかもしれない。きっと、僕を避けるようになるだろう。
たまに心情を吐露してしまいたくなるけれど、僕はラークを見ているだけで幸せだからと、いつも心に蓋をする。
溜息をつきそうになったがなんとか堪えて、僕はラークに問いかけた。
「味はどう?」
すると顔を上げたラークが、いつも浮かべている笑みを消して、僕を見据えた。非常に真面目な表情をしている。どこか怜悧に見える形の良い瞳が、僕を捉えた。
「実は、話があるんだ」
「話?」
「――僕は、この三年間、お前にいくつか嘘をついていたんだ。聞いて欲しい」
「嘘……? 聞くのは全然構わないけど……?」
僕が首を傾げると、ラークが立ち上がった。
「こちらへ来てくれ。店の外で、少しだけ話したい」
「う、うん」
他の店員を見てから、僕は一階のフロアを見渡す。今日はまだ客数が少ないし、同僚にお願いして、ちょっとくらいなら外に出られる。僕は、その通りにした。
「行こう」
僕が言うと、頷いたラークが歩き出す。慌てて僕は、追いかけた。
扉を開けて、ドアについている鐘の音を聞きながら、外に出ると夜空には星が散らばっていた。それを見上げてから、僕は店の裏手に回っていくラークの後を歩く。店の裏側は、畑になっていて、四阿には正方形を描くようにベンチがある。ラークはそこに向かった。
「座ってくれ」
「うん」
頷いて僕が座ると、ラークは立ったままで、僕に言った。
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