ジィジを転がして

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ジィジを転がして

「フォッフォフォ、ところで咲耶(サク)ちゃん。その背中に背負っているピンクのランドセルだが」  万城目校長も彼女の背負っているランドセルが気になるようだ。 「おおッジィジ。これか。さすが校長だ。お目が高いぞ」  咲耶はニコニコしてランドセルを校長先生の机の上に置いた。 「だからジィジって呼ぶな。校長先生を!」  ボクは慌てて訂正した。 「フフゥン、ジィジもよく見てみろ。永田町のジィジにおねだりして買って貰った上等なブランド品なのじゃ」  咲耶はランドセルを撫でて校長に見せびらかした。 「ほォ、ブランド品なのか。高かったじゃろう?」 「高いぞ。優に高級車一台分くらいはしたぞ。まァ、永田町のジィジにとっては、ほんの些細な安モノだがなァ!」 「高級車って、そんなに高いランドセルがあるかァ。どこのブランド品なんだよ!」  思わずボクは反論した。 「ほォら、見てご覧。ここにジュエリーが埋め込まれてあるのよ。永田町のジィジを手懐けて、買って貰ったモノだからね」  自慢げに戦利品を披露しているみたいだ。 「あッあのねえェ」  ボクも呆れて二の句が継げない。 「ほほォ、スゴいな。して、ランドセルの中にはなにが入っておるのかな?」 「フフゥン、ジィジも見たいのか?」  咲耶はニコニコと微笑んだ。 「だから校長先生をジィジって呼ぶなァ!」  すぐさまボクは怒鳴りつけた。
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