7人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
予備のクサリ鎌
「中身は、たいしたモノは入ってないわよ。これは万が一、敵に襲われた時用の防犯用のグッズねえェ」
咲耶はランドセルの中身を取り出してみせた。
「ぼ、防犯用のグッズ?」
なんだ。それは。
「まず、これは手裏剣のセットね」
ゾロゾロと手裏剣をランドセルから出してきた。あっと言う間に、テロリストの展示会の如く危ない武器が並べられた。
「ほほォ」万城目校長も驚きを隠せない。目をまん丸にして見ていた。
「な、なんだよ。それは。どんだけ手裏剣を隠し持っているんだ」
見る間に机の上は手裏剣だらけになった。各種の手裏剣が積まれて山のようだ。どこに入っていたのか、明らかにランドセルの大きさを越えていた。
「それとこれは男の子なら誰でも一度は手にしてみたいクサリ鎌ねェ」
またジャラジャラと音をさせ、ランドセルからクサリ鎌を出してきた。何本も何本も、とめどなく溢れ出してくる。
「ううゥッ、そんな危ないクサリ鎌なんて、手にしたいワケあるかァ!」
ボクがツッコミを入れるが、咲耶は動じる様子はない。
「これはいざと言う時用のクサリ鎌ねえェ」
次々とクサリ鎌を出してきた。明らかに積載オーバーだ。
「おいおい、なんだよ。そのいざと言う時用って」
いったいクサリ鎌を幾つ出す気なんだ。どんどん校長先生の机の上のスペースがなくなっていった。
「それとこれは、急に敵襲を受けた時用の鉄の爪セットねえェ」
今度は、ゾロゾロと鉄の爪を机の上に出した。もう机の上に乗せる余裕がない。床にもジャラジャラとクサリ鎌が落ちていた。
「どんだけ敵襲を受ける気だ。なんだ。徳川家康を相手に、関ヶ原の合戦でも始める気か?」
もう乗せるスペースがない。机の上は危ない武器で山のようになっていた。
「うッううゥむ」
さすがに万城目校長も目を白黒させて唸ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!