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校長室
ボクと咲耶は校内に入ると、さっそく校長室へ向かった。万城目校長には事前に電話をして咲耶のことは伝えてある。
「ねえェ、咲耶ちゃん。くれぐれも頼むから校長先生の前では大人しくしてくれよ」
ボクは廊下で彼女に念を押した。
「平気よ。セクシー女忍者咲耶様に掛かれば、校長のジィジを手の平で転がすことなど赤子の手をひねるが同然。雑作もないことだわ」
まるで銀座のベテランホステスみたいな事を言ってのけた。
「いやいやァ、お願いだから校長先生を『ジィジ転がし』するなよ」
怖いな。校長先生に紹介するのが。
なんとなく校長室の前でボクは入室するのを躊躇っていた。
「ふぅッ」落ち着こうと校長室の前で大きく深呼吸をした。
だが隣りの咲耶はまったく空気を読まない。
「頼もう!」
まるで、道場破りにでも現われたみたいに威勢よくドアを開けた。
「ンうゥ?」
万城目校長もびっくりしてこっちを見つめた。目をまん丸にして驚いた表情だ。
「あ、どうも失礼しました。校長先生。おはようございます。伊賀野藤丸です」
ボクは改めて深々と頭を下げて挨拶をした。
「ああァ、藤丸先生。おはよう。もしかしたらその子が電話で話していた咲耶さんかな?」
万城目校長は咲耶を見て、好々爺のように微笑んだ。
「ジィジ、お目が高いな。さよう、私こそ甲賀忍者イチの美貌を誇る咲耶様だ。華麗に見参!」
美少女は校長先生の前でクルクルと回り、ダンスを舞ってポーズを決めた。
「コラコラ、校長先生をジィジって呼ぶな。申し訳ございせん」
すぐさまボクは謝罪して咲耶の言葉を訂正した。
可愛らしい顔をしているが、不作法にもほどがあるだろう。
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