第2話【腹立たしい客1】

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第2話【腹立たしい客1】

 なんて考えていた時。 「オイ! 早くしろよ!」  聞こえてきたのは、拓眞の後ろに並ぶ六十代位の男性客の怒鳴り声。 (たく、もうすぐ番がくるじゃんか) それに……   本当、相手の事を考えない人が増えたよなぁ。拓眞は憤りながら、店員に。 「では、あちらにてお願いします」   そう言われ、とまどっている女性に助け船を出すべく一歩前に進むと。 「すいません。俺の商品スキャンしておいてくれませんか?」 店員に頼むと。女性の左肩に軽く触ながら。 「大丈夫だから」  そう伝え。 レジの右横に設置されている、ある機械の前に連れて行って。女性の左側に立つと。 「 この機械にね、客が代金を入れて支払いをするんだ」  優しく、話し掛けたのだった。 「あ」   女性は小さく呟くと、とまどいながらも機械を操作して、なんとか代金の支払いを済ませる事が出来て一安心。   そうこうしている内に、拓眞は自分の買い物の品物のスキャンが終わりそうなのを見て。 「ちょっとゴメンね」   と、断ってレジに向かって。 (なんか時間ないのかな? すげー焦ってんな)   彼女を横目に見ながら、店員とやり取りをして支払い機に目を移すと。 「あれ? いない」   彼女は既に居なくなっていて。   未だにムスっとしている、後ろの客に場所を明け渡し支払い機の前に移動すると。 「 お客様失礼いたします。あの女性のお客様、少し急いでいるとの事で『 親切に教えて頂きありがとうございました。直接に、お礼をしない無礼をお許し下さい』とお伝え下さい。と。私に言付けされてお帰りになられました」  そう、店員さんが話し掛けて来て。 「ありがとうございます。このご時世だから仕方ないけど。この店では、こういうシステムになった事を、彼女知らなかったんでしょうね」 「そうですね…… システムの変更のお知らせの周知徹底の努力をして参ります。こちらこそ、私どものしなくてはならない事を。お客様におさせしてしまい申し訳ありませんでした」
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