第5話【黄昏どき(たそがれどき ) 】

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第5話【黄昏どき(たそがれどき ) 】

 黄昏どき《たそがれ》  借りていた本を返却して。 (ほんのちょっとだけ……)  と。気になってしまった本を手に取り、読書コーナーにて、ページをめくった、神咲 マミ(かんざき まみ)は。   時がたつのも忘れて、本の世界に引き込まれ、熱中して目を輝かせていた。   そんな時。   にゅっ…… (ひっ)  熱中していた、マミの目の前。軽く握られた右手の(こぶし)が。小さく机を叩いて来て……  怖すぎて、声も出ないマミ。恐る恐る顔をあげると。透明アクリル板の向こう側。  マミの目の前の椅子に腰掛けた、若い男性がいて。   さらに、マミを驚かせたのは。男性が透明なマスクをしていた事。   そのマスクは。鼻とアゴのラインを、しっかりと保護する形の。(ホコリ)の一つまでしっかりと防ぐ、より本格的なマスクで……   目が合ってしまったマミが、動揺して固まっているのと対照的に。男性はニコリと微笑んで…… 「あ、そうだ!」   と。男性は言うと、おもむろに席を立つと、カウンターへ向かって行って。   マミは。 (ビックリした……)   右手で、胸を軽く抑え。 (落ち着かなくちゃ) (フッ~)   っと。目をつむり、深呼吸をした。
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