エピローグ

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エピローグ

学校の廊下にて。 「病饠屋くんとは、君かね?」 突然の声に振り返ると、其処にはずんぐりとした大男が立っていた。 「ーーまぁ、そうですけど。」 良魅は、端的に答えた。明らかにめんどくさがっているのがわかる。 いやそんな露骨な顔しなくても。 しかし男の方はそれを気にした様子もなく、続けた。 マズい。なんかこの2人をまぜるのは危険な気がする。 「ふぅむ、興味深い。君、是非私とーー」 「お断りします。」 食い気味に会話を終わらせた。 まぜるどころかまざらなかった。 「ではーー」 「ちょ、ちょっと、良魅ーー」 「何よ」 「流石にそんな態度を大人に取るのはまずいんじゃあ…」 「何?じゃああんたは子供だったらそういう態度を取ってもいいっていうの?  私、態度人によって変える奴って嫌いなのよね」 不機嫌だからか、いつもに増して良魅の舌鋒が鋭い。しかし自分で言っておいてその言葉の穴に気づいたらしく、渋々といった態度でその男に向き直った。 「私の名前は病饠屋良魅です。何かご用でしょうか。ないなら帰っても宜しいでしょうか。」 答えたはいいもののめっちゃ棒読みの上に英語を直訳したようなちょっと違和感のある日本語だった。 良魅の棒読みってなんか怖い。 「ああ、申し遅れたね。私は(はかり)砥兵衛というものだ。  ーー君、ディベートに興味はないかね?」 だがしかし、そんな良魅の態度をまた気にもせず、はかり(秤?羽刈とか?)さんは続けた。ーーディベート?ディベートって、たしか2つのサイドに分かれて議論を展開する、あれだよな? 正直言ってこいつは胡散臭いけど、良魅にはぴったりなようなーー 「お断りします。」 しかし良魅はまた、ありきたりな返事で彼の誘いを断った。 「ディベートは、嫌いなので。」 と、 いう理由とともに。 どうやら、僕が良魅のことを分かった気になるのは、数百年早かったようだ。                                  続
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