1.幸福について

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1.幸福について

「幸福とは何なのか。 「それがわかれば人生苦労しないよね。 「お金?愛情? 「いやー、違うと思うけど。例えばさぁ、お金があっても砂漠で誰もいない、喉が渇いて死にそうだって時に、お金持ってりゃ幸せなの?愛情があれば、餓死 しても、死にそうでも幸せなの? 「あー、いや、どちらかといえば…そうだな、心中かな。 「2人が本当に愛し合って、そして死を選んだ時、それは2人にとって幸せかもしれないけれど、傍目から見たらどうよ?本当に幸せって言える? 「尊厳死で死ぬことは幸せなのか、安楽死で死ぬことは幸せなのか、いじめに耐えかねて自殺することは幸せなのか…ねぇ? 「いや、死はキツすぎるな。うーん…微妙だけど、さ、例えば、犯罪ーー万引きとか、ねーーを犯して、結果的に幸せになってもそれは本当に“幸福”なの? 「そもそも、“本当の”幸福なんてあり得るの? 「偽物の幸福はあるの? 「うーん、幸福の定義の話になってきた…… 「え?  やっぱりお金があれば幸せなんじゃないかって? 「お金があれば犯罪を犯す必要もないから? 「なるほどねえ…全く、その意見はいいと思うけど、もうちょっと早くぶち込んで欲しかったなぁ。 「話、若干ずれちゃったじゃん。 「まあいいけどさ…そうだな、じゃあさ、例えば。 「お金という概念が存在しなかった時代の人は、人には、幸福はなかったの? 「違うよね。 「大きな獲物を捕らえられたら嬉しい、子供が産まれて嬉しい…お金がなくとも、幸せーー“幸福”は、あった。ということは、お金=幸せとはならないんじゃない? 「え?話が極端すぎるって? 「でも、そういうことだと思うよ。 「お金は現在で言う物々交換の代替品であって…それに価値があると信じるから、お金になるんだよ。 「んと、難しいな、えー、例えば、円安とかドル安とか、あるでしょう。 「それが例えば、1ドル=一億円!とかなったらどうよ? 「ドルの国行ったら、百円なんてほぼ何も買えないよ。 「けどさ、日本にいれば、百円あれば買えるものもある。 「うまい棒9本買える。 「…え…うまい棒12円になったの!? 「てことは8本しか買えないじゃん! 「めんたいたこ焼き海老マヨコンポタチーズシュガーラスク納豆牛タンしか買えないじゃん! 「………ごめん、脱線した。 「何の話だっけ?偉大なるやおきん様についての話だっけ? 「ああ、そうだそうだ、幸福についての話だ。 「うーん…いや、さっきの話は適切じゃないか。 「うまい棒ほどうまい話ではなかったな。 「……わかったよ、うまい棒から離れればいいんでしょ、離れれば。 「そうだな、例えば、本当に大切な人が死んで、莫大な遺産を残されたとして、  それって本当に幸せ? 「それはそれって思うかもしれないけれど、そう言うことだと思うよ。ーー言ってしまえば、愛情もあるしね。 「死んでも残る愛情が。 「けどこの場合はお金も愛情もあるのに幸せではないことになる。 「そこでわたしのーーいや、わたしの支持する仮説なんだけど、 「マズローの欲求5段階説って知ってる?」 c0a2c442-3539-4114-aa7e-4cfa02a06f2d*引用元:https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fyasabito.com%2F384&psig=AOvVaw0KzIylu85BBkzUT_HbVfxM&ust=1700736033933000&source=images&cd=vfe&opi=89978449&ved=0CAUQjB1qFwoTCNjvp8u114IDFQAAAAAdAAAAABAE 「1番下のが生理的欲求。 「例えばーー  喉が渇いて死にそうで、水を得られた。→幸せ。  その次は、食料が必要。食料を得られた→幸せ。  次は雨風しのげる住居が必要。ゲット。→幸せ。  って言うふうにね、 「今いる自分のステージよりも1段階上の欲求を満たせれば幸せってことにな  ると思うんだ。 「これなら、なぜ今私たちが安全に暮らせていることについてさほど幸せを感じないのか説明がつく。 「…おい、そんなすぐ納得すんな。 「議論のしがいがないだろうが。 「うん、この説にはわたしが思うに1つ疑問点があってね。 「例えば、幸福を追求して、突き詰めていったとして…ピラミッドでいうてっぺんへ、幸福の絶頂へ登り詰めたとして。 「幸福を追求し終えてしまったらーー頂上に行ってしまったら、要するにのでは? 「幸福を追求することが、」 本当に幸福になる手段だと、いえますか?
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