3.友達について

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「おい、自分から振っといて止めんなよ。 「この話題になった時点でそういう話になるかもってこと予測しなかったの? 「まあいいけど。 「けどそうだね、●フレって言葉もあるくらいだからなあ。 「それは判断基準にはならないか。 「うーん。 「ところで、なんだけども。 「恋と友情って、どっちが大切なの? 「いや、大切さで判別できるかなあって、ちょっと思ったんだけど。 「ほら、よくあるじゃない。崖っぷちの状況で、伴侶と親友、どっちを選ぶかっ  て。 「恋情が甘酸っぱい林檎の果実だというのなら、 「友情はさしずめ爽やかな甘夏といったところか。 「爽やかでーーほんのり苦い。 「だってそうでしょ? 「友情も恋情も、メリットだけじゃない。 「負の面もひっくるめて、そこを定義すべきじゃないの? 「負の面がなければそれこそーーただの。 「妄想であって幻想だよ。 「相手を顧みずに抱く、身勝手な。 「恋情のリスクは恨み、妬み、嫉み、ーーねっちゃりとした、甘い蜜のような黒。 「友情のリスクはストレス、すれ違いーーこれにも恨みは入るかな? 「どちらにしろ、一時的なものかもしれないってことは変わりないけど。 「禍福は糾える縄の如し、じゃないけど。 「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ーーーーーーーーーん。 「このテーマ難しいなぁ。 「なんかこう、気持ちの中ではわかってるんだけど、そんな気がするんだけど、  言葉に表すことができない。 「なんで昔の人は、恋の好きと友情の好きを分けてくれる言葉を作らなかったんだろう。 「私が今あんたに抱いている好意はきっと友情としてのものだろうけどーーって。 「……何照れてんだよ。 「こっちまで恥ずかしくなってくるじゃん。 「うーん、少し無理やりだけど、 「好意を抱いている人が感じることで、恋か友情かは決まるのかなぁ。 「愛と恋と友情。 「ーーそういえば、なんで友情を一文字で表せる漢字はないんだろう。 「それから、 「なんで[友情]って漢字には、『心』が入ってないんだろう。 「英語でも、愛はloveなのに、 「友情はfriendshipと長ったらしいよね。 「それによく考えてみれば、 「自分の子孫繁栄の利益にもならないのに、誰かと親しくするって行動さえ、不思議に思えてくる。 「恋情をも超えるほどの。 「その行動が。 「友情というのは、平和や文化の発展、世界の安寧が作り出した、創り出した奇跡とさえ言える。 「なら私達は、その奇跡をいつまでもたせられるかな? 「きっと其処が、 「『永遠の友情』の、終着点だ。 「そして社会的存在の、 「終着点なんでしょう。 「ま、とりあえず。 「手っ取り早くここにある友情を長続きさせるために、今からカラオケでも行って、親睦を深めない?」
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