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頑張ってみる side裕哉
やはり嫌われているのだろうか。他の人のように気楽に近寄って来てくれない。態度も冷たいような気がする。せめて普通の態度を取って欲しいのに……
そうなるとこっちからアプローチしたいところだが、上司の立場ゆえに過剰な接触はセクハラと言われかねない。せいぜい仕事にかこつけて近づくくらいが関の山だ。
「横澤さん、さっき送ってくれたデータのことで……」
「はい」
私の横からパソコンを覗き込んで説明する彼女は眉間に皺を寄せ、スンと匂いを嗅いで慌てて距離を取ってくる。
あ、汗臭かったか?い、いや……もしかして加齢臭⁉︎私はもう加齢臭がするのか?しっかり身体を洗っているのに……やっぱり香水とかつけた方がいいのか?
「あ、ありがとう。理解できたよ。手間を取らせたね」
少し距離が離れてしまった彼女に礼を言いつつ食事にでも誘いたいのにうまくいかない。
「いえ……このくらいのことなら……」
あっという間に席に戻ってしまった横澤さんに声をかけそびれてしまった。
やはり彼女をスマートに誘える……誘って嫌がられない人並みの体型になった方がいいのかもしれない。そうしないと彼女と仕事以外の話をする資格はない。
今まで以上にダイエットを頑張ろうと決めた。
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