2ヶ月の努力 side裕哉

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2ヶ月の努力 side裕哉

 ダイエットを決心したが、ひとりでは途中でリタイヤしてしまいそうでパーソナルトレーナーのいるジムに入会した。  担当トレーナーは細マッチョなイケメンで、私のゴール地点と定めたタイプの男だ。勝手にライバル心を燃やしてジムにせっせと通うようにする。  今まであまり運動をして来なかったから、最初は筋肉痛で身体が悲鳴を上げたが、それを乗り越えると身体を動かすことが楽しくなってきた。 「太川さん、だいぶ絞れましたね」 「ありがとうございます。佐竹さんのおかげです」 「目標まであと少しですが、太川さんの身長だとこのくらいの方がバランスいいかもしれませんね」 「そうですか。これで好きな人に告白できそうです」 「あ、そうなんですか。実は僕もいいなぁって思っていた子がいたんですが、彼女も好きな人に告白するってダイエットしていたと聞かされて、失恋しちゃいましたよ。ダイエットからの告白って、よくある話なんですかね。まぁ太川さん、イケメンだし身体締まったから女性が黙っていないんじゃないですか?」  ジムの鏡に映る自分を見る限り、だいぶ自分で納得いく体型になれたと思う。そのせいだろうか……最近会社だけでなく外を歩いていると女性に道を聞かれたり、予定を聞かれたりする事が増えた。  相変わらず横澤さんだけが、こちらに視線を合わせてくれないが……  ただ気になるのは最近、彼女が痩せてきていることだ。あれだけ楽しそうだった食べ歩きの話をしている姿も見ていない。何か悩みがあるのだろうか。それとも病気⁉︎大丈夫だろうか……悩みを打ち明けてくれ……はしないよな。ただの上司じゃな……  それでも心配で堪らない。やはり上司として相談に乗るていで話をきくのが一番だろう。何か悩みがあるなら私が全て排除してやるんだ。そうだ!明日は彼女を食事に誘ってみよう。
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