朝 side絵理子

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朝 side絵理子

「おはようございます」  いつものように課長が周りに挨拶しながら事務所に入って来た。 「おはようございます。課長」 「横澤さん、おはよう」  挨拶した勢いで話しかけなきゃ!そう思うがなかなか言葉が続かない。 「あ、あの……」 「横澤さん?」  課長がこちらを気にしているのが分かり、次の言葉を探していると山下部長がこちらに向かってきた。 「太川課長、ちょっといいですか」 「は、はい。」  部長に声をかけられて課長が私の横から離れていく。難しい顔で話している課長はもうお仕事モードのようでプライベートなお誘いをできる雰囲気ではなさそうだ。 「はぁ……」 「おはよう、絵理ちゃん」 「おはよう、弥生ちゃん」  同期で同じフロアの弥生ちゃんが、書類ケースを運んで来た。 「どうしたの?麻呂ウォッチングしているのにため息つくなんて」 「……うん……」 「でも……麻呂が麻呂じゃなくなったから楽しくなくなってもおかしくないか」 「えっ⁉︎」 「最近、課長スッキリしたからイケメンになったって、みんな騒いでいるもん。受付の瞳とか資材課の結香が狙っているみたいだし」  最近、よく他の課の女の子が課長のところに来ていることを見かけていたが、そういう意味だとは全く考えていなかった。  課長を毎日見ていたはずなのに……逆に毎日見ていたから課長の丸みがすっかりなくなっていたことに全く気づいていなかったなんて……    でもきっかけはあの体型でも課長への気持ちは不思議と冷めていない。それはずっと見て来て課長のいいところをいっぱい知っているからだろうか。  
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