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「まぁ、同じ名前の男の子ねぇ」
「うん。はるか、クラスのなかでやこうくんといちばんなかがいいの」
「そう、よかったわね」
お母さんに谷古宇くんのことを話すとにこにこしながら訊いてくれた。でもお父さんはというと──
「春花ぁ~~~仲良くするなら女の子にしなさい」
「おんなのこのおともだちもいるよ?」
「そうだろうけどね、まだ春花に男子の友だちなんて早過ぎるよ~」
「なんで?」
「ふふっ、あなたったら心配性ね。この年頃は男女関係なく仲がいいものよ」
「そうはいってもね、春花に万が一のことがあったら──」
「万が一のことってなんですか。あなたは心配し過ぎです」
「えぇ~~~」
私の家族はお父さんとお母さん。それにお兄ちゃんがふたりいる。上のお兄ちゃんは中学一年生、下のお兄ちゃんは小学三年生。
「春花はお父さんの可愛いお姫様なんだよ~。いつまでもお父さんだけのものでいておくれ~」
「えぇ、いやだぁ」
「春花ぁぁぁぁ」
女の子が欲しかったお父さんは念願叶って生まれて来た私を溺愛していた。子どもながらにそんなお父さんの甘えを面白おかしく思っていた。
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