念写(仮)

　小学生の頃、僕のクラスの男子の間でインスタントカメラを使った念写が流行った。

　どうしてだったのかは忘れてしまったけど、とにかく流行っていた。

　携帯電話に内蔵されたカメラやデジタルカメラではなく、専用のフィルムを使い、撮った写真がその場で見られるインスタントカメラ。それのレンズの部分を自分の額にあててシャッターをきる。

　まぁ、当たり前だけど、たいていは何も写っていない。

　でも、たまに変な光が写っていたり、見ようによっては人の顔に見えなくもないような影みたいなものが写っていたりする。

　写っていようが写っていなかろうが関係ない。僕たちは休み時間や放課後になると、それぞれが持ってきたカメラでひたすらおでこを撮りまくっていた。

　そんなある日のこと。

　僕はとうとう念写に成功した。