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一瞬の痛みにぎゅっと目をつむる蘭子さま。なんだかとてつもなく悪いことをしているような気持ちになる。背徳の味だ。
「……これで、大牙くんは大丈夫だね」
蘭子さまは安心したようにやわらかく笑う。安心したのは俺の方だ。じいちゃんは満足したのか、頷きながら去っていった。
「大牙くん、私たち、これからどうする?」
「どうするって……もちろん――」
俺が蘭子さまに近づいたきっかけは、もう関係ない。俺はもうどう生きるか決めたんだ。蘭子さまの前でひざまづく。
「蘭子さまに服従します」
「……じゃあ、命令。前みたいに普通に接して。これからもっともっと私のことを好きにさせてあげるから、私のことを好きになって」
「……わかった」
「あと、蘭子って呼んで」
「……蘭子」
「よろしい」
蘭子さま――蘭子は、笑う。俺だけに見せる、とびきりの笑顔だ。
俺は蘭子に服従したい。俺は蘭子の犬になりたい。
俺は蘭子のことを、これからもっと好きになる。
俺たちの主従関係は、まだ始まったばかりだ。
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