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これには普段、感情を表に出さないネロも声を荒げる。
「一体何の権限があってこのようなことをするのだ!」
「皇后陛下は精神的に錯乱されておられた。我らが皇帝陛下は御自らのご判断で皇后…あなた様の妹君を幽閉なされたのですぞ。
しかし『ネロがこの条件を受諾してくれるのならば、皇后に代理で余への誠意を示したこととなり解放しても良い』と仰っておりました」
「このような無礼は初めてだ。我が国は今まで貴国に対し協力を惜しまなかった…。だが友邦に対しこのような仕打ちをするというのか?」
普段滅多に感情を表に出すことはないネロだが、この尊大な帝国の提案に耐えかね声を荒げた。帝国の使者はそれに驚きながらも優位がこちらにあることを知っていたので、ニタニタと尊大な笑みを浮かべていた。
「国王陛下は聡明な方だと思われます。ここは皇后陛下の…妹君の御身を第一に考えるのが得策かと」
「少し外に出る…。頭を冷ましたい…」
あまりにも想定できない事態に直面したネロは会談の途中にかかわらず、部屋の外に出た。そこにはリュウセイがいた。ネロはリュウセイとヴィザールの二人を捕虜といえど国内を自由に歩き回れるようにしていた。リュウセイは今日も手合わせをするためにネロの後についてきていたのだ。
「話は聞かせてもらったぜ。陛下も結構苦しいんだな」
「盗み聞きとは感心しないな」
「いや〜ドアの中からデカい声がしたからなんだと思ってさ。それに陛下ほどじゃないが、俺も結構耳が良いんだぜ?」
ネロはリュウセイの視力と聴力が極めて優れていることを知らなかった。そして彼がこの後も何か言いたそうなそぶりを見せたのであえて沈黙し、彼の話を聞くことにした。
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