10章 アアル飛行王国

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そういうとネロはリュウセイとヴィザールにモップを渡した。 「こっちも重ぉっ!!これは何Kgあるんだ…!?」 「50kgだ。ベストに比べれば軽いものだろう。しっかり掃除したまえ。私は執務があるのでこれにて失礼するぞ」  ネロはそう言うとその場から立ち去った。  修行は極めて苛烈だった。100kgのベストに50kgのモップ。そして何より辛いのがその二人を眺めるアアル国民の好奇と嘲笑の目。二人が自発的に修行をしていることを知らない多くの国民からすれば捕虜が制裁を喰らわされているようにしか思えなかった。   「同盟軍の兵士ども、良い気味だな。貴様らの言う劣等種族に顎で使われるのはどう言う気分だ?」 「俺の吐いたガム、しっかり掃除しておけよ。ぺッ!」  中にはこのようにして心のない罵声や挑発行為を行う者もいる。   「貴様ら!殺してやる!」 「は〜い!よろこんで!」  ヴィザールは彼らに対し、モップを振り下ろしそうとしたが、リュウセイは顔に笑顔を浮かべながらガムを清掃する。
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