10章 アアル飛行王国

18/19
前へ
/174ページ
次へ
「リュウセイ、お前にはプライドが無いのか!こんなことを自ら進んでやるなんて!」   「そうだ。俺はプライドを捨てたんだよ。今までどれだけ勘違いをしていたのか、負けたことで気が付いたんだ。  強くなるのに、仲間を守るのに、そんなものはいらねぇと思わねぇか?」 「お前…」  リュウセイが重荷を背負いながら必死にモップをかける姿は、甲板だけではなく自分自身の心を洗い流しているように見えた。そしてヴィザールもいつしか彼と同じようにモップと雑巾をかけるようになっていった。    1日目の苛烈な修行はあっという間に終了した。  修行が終わった後、リュウセイはその場に倒れ、周りの者たちは二人にねぎらいのつもりで水をかけた。嘲笑はいつしか尊敬の眼差しに変わっていたのである。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加