プロローグ

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プロローグ

 雲界(うんかい)…ここは我々の住む世界とは異なり、多数の浮島によって構成されている。その島々の移動には太古より竜や大鳥が使われてきた。  そこには竜人族(りゅうじんぞく)と人間の二つの大きな民族が生活している。長い歴史を経て二つの種族の間には多くの遺恨(いこん)が生まれた。    竜人族は人と竜の両方に姿を変えることができ、自由に空を飛び回れることから、縦横無尽に雲界を飛び回り、太古から支配民族として君臨し、人間たちを従属させていた。  強靭な肉体、自由に空を飛びまわる翼、優れた視力と聴力。それらを兼ね備えた竜人族に対し、人間という種族は非常に脆弱であるかのようにも思えた。    しかし神は人類に何も授けなかったわけではなかった。  「魔術(まじゅつ)」それは人類が竜族の強大な力に対抗するための唯一の手段だった。その奇妙にして不可思議な力は、身体の内部に溜まった胆力(グリット)を消費することで主に無から新たな物質を生成するというものだった。人類は竜に対抗するためこの魔術を鍛え上げてきた。  そして人類も自らのその探究欲によって科学技術の発展ももたらした。それは縦横無尽に空を飛び回れる戦闘機、竜機(ドラゴンファイター)を開発した。  科学技術の発展により、竜族の支配構造は完全に崩れ去る。自らの生まれ持った力に驕り高ぶっていた竜族は科学技術を軽んじていたからである。  人間の国家は竜族に対抗するための国家連合「雲界同盟(うんかいどうめい)」を創設。  竜機を始めとする最新兵器を利用した人類は竜族に「嵐戦争(ストーム・ウォー)」を仕掛け世界の半分を奪い返した。  一方の竜族も人間に対抗するために竜族の諸侯を集めた国家「神竜帝国(しんりゅうていこく)」を建国。「雲界同盟」との睨み合いを続けていた…。 いつしかその睨み合いが世界を二分する大戦になるとは誰も知らずに…。  ------------------------
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