がんばれ!リョーコ

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 私とユウタくん、そしてアサミは同じ中学、そして高校に通っている同級生だ。  ユウタくんとは中学二年生のときに同じクラスになって以来、ずっと片思いをしていた。きっかけは同じ委員会になったこと。美化清掃委員、だったかな。お互い推薦で選ばれて、めんどくさいね、ってお互いに笑いあったのが最初。それから私はユウタくんのことばかりみていた。高校も、アサミとユウタくんは頭が良くて県内有数の高校に行くと決めていたのを、私ががんばって追いかけた形だった。  今年で高校三年生。三年生にしてやっと再びユウタくんと同じクラスになれた私は、今年こそユウタくんに告白して彼女になりたい、なろう! と決意していた。連絡先は知っていたし、週に一度ぐらいはメッセージのやり取りをしていたから、あとは勇気が持てれば告白しようと思っていた。  そんなゴールデンウイーク初日の今日、私は夢にユウタくんをみた。一緒に手をつないで海岸を歩く夢だった。妙にリアルで、現実だったんじゃないかと思うぐらいだった。でも、目が覚めた。私はそのあとしばらく、夢の余韻に浸っていた。浸りながら、偶然ラインが鳴って、ユウタくんからメッセージが来た。 〈リョーコ、昨日誕生日だったんだって? おめでとう!〉  私は〈ありがとう〉と文字を打ち込んで、スタンプと一緒に返事をした。 〈プレゼント何が欲しい?〉  ユウタくんからの返事に、私は思わずこう返してしまった。 〈何もいらない。ただ、ユウタくんの彼女になりたい。ユウタくんが好き〉  既読はすぐについた。でも返事はなかなか来ない。私は「なんてことを言ってしまったんだ」とスマホの電源を消した。そして洗面所に向かい顔を洗った。鏡に映る私は真っ青だった。寝起きは汗ひとつかいてなかったのに、今は背中とひたいから滝のように汗が流れていた。 「うそ、告白しちゃった」  心の中でいろんな気持ちがわいては消えていく。 〈大丈夫、きっとユウタくんも私のこと好きだよ〉 〈たとえクラスメートとしての好きだったとしても〉 〈いやいや、わからない。だって話すのは教室だけだし〉  私は髪がびしょびしょになるまで顔を洗うと、部屋に戻った。スマホを開くとラインの返事がきていた。また心臓がドクンと大きくのたうった。 〈リョーコ、ありがとう。でも、ごめん。オレ、好きな人がいるんだ〉  
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