がんばれ!リョーコ

1/4
前へ
/4ページ
次へ

がんばれ!リョーコ

 私は今日、失恋した。  ずっと好きだったユウタくんにフラれた。それでも時計の針は止まらないし、約束の親友はこのあと私の家に訪ねてくる。だからぐすっぐすっと鼻をすすりながらも、庖丁を手に野菜を刻み始めた。  今日は親友のアサミにカレーをごちそうすることになっている。私の両親は出張でいないから、アサミはそのまま私の家にお泊まり。本当は楽しいお泊まり会のはずだった。だけど――。 玉ねぎを切り始めると、涙が一気にこぼれ落ちた。ようやく落ち着いたと思った涙が、また次々に目尻から頬を伝って流れていく。 「ううっ……うううっ」  私はまな板に包丁を置いて、顔を手でおおった。目がしみて、涙は中々止まらない。悲しさも相まって胸が痛い。息が上手にできない。  ピンポン、と家のチャイムが鳴る。私はこぶしで目を乱暴にこすって玄関に向かった。 「リョーコ、来たよ――って、どうしたの!」 「あ、アサミぃぃぃ」  私はアサミの胸に抱き着いた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加