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「どうして?」
「先生が好きです」
「自分を大切にしなさい」
「私したことないです」
「僕だってそんなこと」
「嘘」
「恥ずかしい」僕は教室から逃げ出して、職員室に来た。
「過激な生徒はいるのですね」
「どうしましたか?」古典の教師の三十代らしい女に聞かれた。
「援助交際に誘われました」
「あぶない」
「誰?」
「一組の美形の女子」
「谷さん?」
「確かそうだった」
「あの娘は可愛いけどぐれている」
「僕もあまり経験ないから怖かったです」
「まさか」彼女は笑った。
僕はどうしたらいいのかわからなかったので黙った。
「大学出たての男性口説くなんて怖いわね」
「遊んでいるのかな?」
「案外本気かもしれない」
「まさか」
「『玉の輿』かなんか言って狙っているのかも」
「そんな娘いませんよ」
「あの娘は可愛いけどやるのよ、それで転勤した人いるの」
「信じられない」
職員室で話し合った。
援助交際の谷に関しては関わりを持たないようにしてください、と言われてしまった。
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