星散る空よ

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「じゃあ、なに?」 「理由のいらないことができるのは、学生のうちだけなのかもって思ってさ」  こっちを向いてにっこり笑う親友。 「星空観察しようと思った理由? そんなの無いよ。こういうとりとめもない思いつきで、何かをできるのは高校生の特権。  言うなれば、アオハルってやつだよ」 「アオハル、ねぇ。瑞希からそんな単語が飛び出す日が来ようとは」 「へっ、私だってアオハルしたいもん」 「はいはい」  口をとがらせて言う瑞希の言葉を受け流しながら、わたしは天の川を挟んで輝く二つの星を見つけた。一年に一度しか会えないという制限付きロマンスを繰り広げる彼ら……よりも、今のわたしたち、良いんじゃない?  理由もなく星空見るわたしたち。  アオハル、してるんじゃない?  そう思ったら何だか恥ずかしくなっちゃって、わたしは暗闇の中で口をきゅっと結ぶ。隣に座る親友の体温を、すぐそばに感じながら。 (了)
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