星散る空よ

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 待ちに待った七月七日の夜がやってきた。うちの高校の最終下校時刻は十九時と決まっているのだが、今日は特別だ。天文部員を始め、観測会参加者は地学室に残っている。 「夜の学校ってわくわくするね」  わたしは瑞希の隣に座りながら呟いた。小学校の頃は七不思議とかを真面目に信じていたから、絶対に放課後残りたくないと思っていたけれど、高校生の今は別だ。トイレの花子さんとか信じないし……ってか、うちのとこにそんな話はなかった気がする。  結構歴史ある公立だから、ユーレイ話出てもおかしくないんだけどな。まあ、それはおいといて。 「わくわくするの、わかる」  瑞希も言った。何がどうわくわくするとか、説明はしない。なんかこう……わくわくするんだよ! 普段は先生たちしか居ないはずの時間帯に学校にの残っているってのが最高。非日常って感じがするんだよね。 「観測会、何時からだっけ」 「確か八時半。あと十分」 「おけ」  何故かわたしも瑞希も言葉少なだ。 「なんか今日疲れた」 「あれだよ、プールの授業があったから」 「あー、あったねぇ」  プールに、星空観察。なんか夏って感じ。 「夏だねぇ」 「暑いよねぇ。てかここ、冷房きいてないでしょ」 「地学室って暑いイメージ」 「わかるわそれ」  ふふふ、と二人で笑い合っていると天文部の人の声がした。 「一般生徒参加者のみなさーん、屋上に向かいまーす」  いよいよ、始まる。
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