そろそろツリーを出そうかね。

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理玖がおかわりしたトーストを食べ終える頃、テレビではクリスマスの特集が流れていた。 『今年も欅坂のクリスマスイルミネーションが……』 「あ!」 急に理玖が大きな声を出したので深結はびっくりする。 「なに、急に」 「深結、ツリー出そう。今日、今から」 理玖が『今日、今からモード』に入ると何を言ってもきかないので、深結は素直に頷いた。 「いいよ。テーブル片づけて着替えたらね」 この家のツリーはふたりが同棲を始めた年に買ったもので、毎年少しずつオーナメントを買い足している。 30センチほどの小さなツリーだが、大切に手入れしながら何年も飾っている。 ツリーは買った時の箱に入っていて、オーナメントは別の紙袋の中にジップロックの小袋に小分けにしてある。 「まず最初にツリーの根元に雪を置いて」 そう言って理玖は手芸用の綿を千切る。 「はい、深結の分の雪」 ふたりで千切った雪をバランス良くツリーの根元に配置していく。 他に金のモールや雪の結晶、赤いベルベットのリボン、ベル、LED電球などを飾る。 「私、ツリーの飾りつけって大好き」 深結はそう言ってにっこり笑った。 「俺も。楽しいから好き」 「今年はこのツリーにキャンディケインをつけ足したいな」
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