そろそろツリーを出そうかね。

12/18
前へ
/18ページ
次へ
「あ、オーナメントの屋台あった」 既製品に混じってフェルトの手作り品なども並んでいる。 「このいびつな顔のトナカイ、俺好き」 「ほんとだ、味があって可愛い」 ふたりはフェルトで作られたトナカイのオーナメントを買った。 隣の屋台にはツリーのてっぺんに飾る星や、雪の結晶、金銀のボールなどが並んでいた。 「あ、キャンディケインあった」 奥にお目当てのものを見つけた。 「赤白の縞々以外にも、ピンクと白とか赤と緑とか、色々ある!」 深結は目を輝かせてそれらをひとつひとつ手にとって眺めた。 「どれがいいの?深結」 「うーん、迷う」 「じゃあ全種類ひとつずつください」 そう言って理玖が会計をして、茶色い紙袋に入ったキャンディケインを深結に渡す。 「はい、深結」 「もうサンタ来た」 深結は嬉しそうにそれを受け取った。 「ありがと理玖」 「どういたしまして。っていうか深結、手冷たい」 理玖はそう言って深結の手を握ると自分のコートのポケットに突っ込んだ。 「冷えちゃったな。ホットワイン飲もうか」 理玖の一連の動作に、周りにいた女子たちがうっとりした。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加