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次の日はふたりとも休みの日だったので、ダラダラと昼近くまでベッドの中にいた。
そして先に空腹の理玖がベッドを出てボサボサの頭のままキッチンに向かう。
理玖は恐ろしく寝起きが悪いのだ。
深結はパジャマのままベッドの中から理玖の後ろ姿を見送ったが、5分たっても10分たっても何の音も気配もしないので、仕方なくベッドを出た。
リビングのベッドの位置からはキッチンとの境目のドアのせいで向こうが見えない。
深結がキッチンに続くドアを開けると、コンロの前で目をつぶったままの理玖が揺ら揺らしていた。
深結はブッと吹き出して理玖を見た。
もの凄い癖毛のせいで逆立った髪と、ギュッとつぶった目。そして、たぶん空腹からパンを焼こうとして開かれたままのトースターの扉。
理玖は何も持っていない手をなにやら動かしている。
もしかして左手に食パン、右手にマーガリン、のつもりなのだろうか。
そして体をゆっくり左右に揺らしている。
ゆらゆら、
ゆらゆら。
もの凄くお腹が減っているけど、
もの凄く眠いのだな、と深結は思った。
深結は理玖をそのままに、顔を洗って髪をとかし、キッチンに戻った。
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