8人が本棚に入れています
本棚に追加
忍ばない忍者
龍宮院姫香の言う通り授業を再開したいのは山々なのだが、咲耶の事も放ってはおけない。
「ううゥ……」どうすれば良いのか。
まったく板挟みだ。
「あのですねェ。授業の邪魔をしないでほしいんですが……」
取り敢えず咲耶を注意をした。
しかしそんなボクの忠告など咲耶は聞いていない。
「フフゥン、ではリクエストにお答えして一曲、歌わせて貰うわ」
まるでステージにでも上がったようにマイクを取って教室でライブパフォーマンスを始めるようだ。
「えェ……?」マジか。
「ちょッちょっと待って!」
すぐさまボクはやめさせようとするが、その前に男子たちは総立ちになった。
「ヒューヒュー!」
ハリーたち男子は妙にハイテンションで咲耶の周辺を取り囲んだ。まるで親衛隊みたいだ。
授業中にも関わらず盛大に盛り上がっていた。
咲耶は水着のままダンスを舞ってみせた。
「チュッチュッチュッチュッチュ〜し隊♪」
さながらガールズコレクションのランウェイでライブをするアイドルみたいだ。
「チュ〜ーしたァい♪」
男子たちオーディエンスも咲耶のアピールにコールで応えた。
「どうした。声が小さいぞ。もっと掛かって来いよォ。チュッチュッチュッチュッチューしたァ〜ーーい♪」
さらに咲耶はオーディエンスを煽ってマイクを向けた。まるでELTの持田香織のようだ。
「チューしたァ〜ーい♪」
「おいおい、お前ら、チューしたくねえェのかァ?」
だがまだまだ声援が足りないみたいだ。
再度、咲耶はアピールした。
「チューしたァ〜ーーい♪」
咲耶がマイクアピールをすると、男子生徒たちも合いの手を入れた。
「チューしたァ〜ーーい♪」
何度もコールアンドレスポンスの応酬だ。
「うッううゥ……」
ボクは唖然として咲耶のライブパフォーマンスを見ていた。
龍宮院姫香ら女子生徒たちは各々、ワイヤレスイヤホンをして完全に無視していた。
もはや、これでは授業どころではない。
最初のコメントを投稿しよう!