忍ばない忍者

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忍ばない忍者

 龍宮院姫香の言う通り授業を再開したいのは山々なのだが、咲耶の事も放ってはおけない。 「ううゥ……」どうすれば良いのか。  まったく板挟みだ。 「あのですねェ。授業の邪魔をしないでほしいんですが……」  取り敢えず咲耶を注意をした。  しかしそんなボクの忠告など咲耶は聞いていない。 「フフゥン、ではリクエストにお答えして一曲、歌わせて貰うわ」  まるでステージにでも上がったようにマイクを取って教室でライブパフォーマンスを始めるようだ。 「えェ……?」マジか。 「ちょッちょっと待って!」  すぐさまボクはやめさせようとするが、その前に男子たちは総立ちになった。 「ヒューヒュー!」  ハリーたち男子は妙にハイテンションで咲耶の周辺を取り囲んだ。まるで親衛隊みたいだ。  授業中にも関わらず盛大に盛り上がっていた。  咲耶は水着のままダンスを舞ってみせた。 「チュッチュッチュッチュッチュ〜し隊♪」  さながらガールズコレクションのランウェイでライブをするアイドルみたいだ。 「チュ〜ーしたァい♪」  男子たちオーディエンスも咲耶のアピールにコールで応えた。  「どうした。声が小さいぞ。もっと掛かって来いよォ。チュッチュッチュッチュッチューしたァ〜ーーい♪」  さらに咲耶はオーディエンスを煽ってマイクを向けた。まるでELTの持田香織のようだ。 「チューしたァ〜ーい♪」 「おいおい、お前ら、チューしたくねえェのかァ?」  だがまだまだ声援が足りないみたいだ。  再度、咲耶はアピールした。 「チューしたァ〜ーーい♪」  咲耶がマイクアピールをすると、男子生徒たちも合いの手を入れた。 「チューしたァ〜ーーい♪」  何度もコールアンドレスポンスの応酬だ。 「うッううゥ……」  ボクは唖然として咲耶のライブパフォーマンスを見ていた。  龍宮院姫香ら女子生徒たちは各々、ワイヤレスイヤホンをして完全に無視していた。  もはや、これでは授業どころではない。  
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