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チューし隊
「チュッチュッチュッチュッチューしたァ〜い♪」
一方、咲耶は渾身のパフォーマンスだ。オーディエンスへマイクを向け煽っていく。
「チューーーしたァ〜い♪」
すぐさま男子たちも合いの手を返した。
しかし龍宮院姫香ら女子たちは冷ややかな目でセンターの咲耶を見つめていた。特に龍宮院姫香は冷たい眼差しだ。
咲耶の人気に嫉妬しているようだ。苦虫をかみ潰したような表情で見つめていた。
これまで彼女はスクールカーストのトップだったので面白くないのだろう。
この先、咲耶の存在がスクールカーストを揺るがすのは必至だ。
なおも咲耶のライブは続いた。
「見たい♪ 聞きたい♪ キッスしたァ〜い♪」
咲耶が自己紹介のラップを歌うと、すぐにマイクをオーディエンスへ向けた。
「キッスしたァ〜い♪」
ハリーら男子たちも親衛隊のようにコールを返した。
「一心同体♪ 愛したァ〜い♪」
またマイクを向けた。
「愛したァ〜い♪」
「ひと晩じゅうでも抱きしめたァ〜い♪」
「抱きしめたァ〜い♪」
いつの間にか、ボクもコールアンドレスポンスに参加していた。
「お腹いっぱい食べてみたァ〜い♪」
「食べてみたァ〜い♪」
「みんなと一緒に遊びたァ〜い♪」
「遊びたァ〜い♪」
「キミを好きだと叫んでみたァ〜い♪」
「叫んでみたァ〜い♪」
「ウチらの時代にしてみたァ〜い♪」
「してみたァ〜い♪」
「ラップで世界を制覇したァ〜い♪」
「制覇したァ〜い♪」
「やっぱりみんなハグしたァ〜い♪」
「ハグしたァ〜い♪」
「みんなの憧れ♪ 美少女隊♪」
「美少女たァ〜い♪」
「世紀のアイドル♪ チューし隊♪」
「チューしたァ〜い♪」
このあと声が枯れるまでコールアンドレスポンスが繰り返された。
やり方はかなり乱暴だが、初めてクラスがひとつにまとまった気がした。
咲耶には感謝だ。
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