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「お嬢さんは美羽さんと言うのですね」
「お前は、娘の、美羽の名前さえも知らずに俺たちの前に現れたのか」
「なにせ通りがかりにお嬢さんと会ったもので」
「これまでもたくさんの慈善活動とかいう輩が、美羽の魂をどうとか、残された家族がどうとかやってきたよ」
「そういった人たちは多いと聞きます」
「あんたもそういった人たちの一人だろうが。それも娘の名前すら知らずにのこのこと。俺たちになんの用だ。心配やお悔やみの押し売りか。もう放っておいてくれ。天国にいる美羽をそっとしておいてやってくれ」
天国? 美羽さんは亡くなっているの? じゃあ連れてきたって?
「美羽ちゃんはまだ天国にいけていないよ」
「なんだこの犬は。いきなり吠えやがって」
「あの、キャラが美羽ちゃんはまだ天国に行けていないって」
「なんだお前は。この犬が喋ったっていうのか? それも美羽が天国にいけていないだと。誰にでも、動物にも優しい女の子だったんだぞ。地獄にいくわけないだろう。ママ、警察だ、子どもとしてもタチが悪すぎる。もう警察を呼んでくれ」
美羽ちゃんの父親はすごい剣幕で怒鳴り散らしてきた。
「そこの男の子檀は、その犬キャラと話すことができる。キャラは亡くなったものの魂を生前の姿で視ることができる。そして私は姿形のイメージができた魂をこの竹筒に招き入れることができる」
そう言って萌さんは胸元から黄色く光る竹筒を取り出した。ん、黄色?
「ねえ、萌さん。その竹筒さっきは青く光っていましたよね」
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