36人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「光の色はその魂の状態を表しているのよ。美羽ちゃんは、あの場所で事故にあって家の場所が分からなくなり、あの場所に縛られていた。そこから私が強引にお招きしたから最初は不安を示す青、今は自分の家でお父さん、お母さんの姿を感じたので安心した黄色になったのよ」
じゃあ僕がキャラから訊いて萌さんに伝えた特徴は美羽ちゃんの姿。そしてそれを萌さんがあの竹筒に入れたってこと。
「その話が本当だなんて誰が信じるんだ。美羽の魂を連れてきただって。バカバカしすぎて怒りしか湧いてこない。ママ、警察はまだか」
「ワンワンワン」
いきなり家の中から大きな茶色い犬が出てきて、萌さんの腰に前足をかけて、竹筒の匂いを嗅いでいる。
「おわわわわ」
「あ、こらビスケ」
さすがの萌さんも大型犬にのしかかられて焦っているのがよくわかる。そしてついに押し倒されてしまい、手から竹筒が落ち、玄関に転がった。ビスケと呼ばれた大型犬は、萌さんから離れて転がった竹筒をぺろぺろと舐めている。
「お、おい、ビスケ、何をしているんだ」
「ふーん、やっぱり犬って視えたり、感じたりする能力が高いのね」
「あの、萌さん、さっきからキャラがかえしなよって言ってるよ」
「あ、そうだった。お還りください」
竹筒が再び強く輝き、やがて弱い風が吹き、その光を失った。
「え、美羽? あなた今」
「ああ、なんだか美羽の雰囲気が」
最初のコメントを投稿しよう!