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キャラが少し怒ったような言い方をしてきた。なんとなく、この場は言うことをきいておいた方が良さそうだと、僕の本能が呼びかけている。
「えっと、小学校低学年くらいの女の子で、白いパーカーに青いス」
「逆、青いパーカーに白いスカート」
「す、すいません。青いパーカーに白いスカートです。それで、えっとポニーテールにピンクのリボン、だったかな」
「萌、これでまねけるだろ」
「えっと、萌、これでまぬけるだろ」
「はあ、萌? なにいきなり呼び捨て。それにまぬけるじゃなくて、まねけるでしょう」
「えっ、いや、キャラが、ああ、すいませんすいません」
ヤバい、キャラの言葉をそのまま伝えてしまった。そりゃ、小学生にいきなり呼び捨てにされたら怒るよね。こんなとこにトラップがあるとは。でも、まねけるってなんだろう。
「まあ、いいわ。ん、大丈夫、まねける」
そう言った萌さんは、また胸元から竹筒? のようなものを取り出した。萌さんが何かを呟き始めた。声が小さく、聞き取りづらいが、何かの呪文のようにも歌のようにも誰かに話しかけているようにも聞こえる。
「御招き致します」
萌さんが、そうハッキリと言うと竹筒が眩く光輝いて、やがて淡く青い光を放つだけになった。
「オッケー、終わったよ。無事に招き入れられたよ」
なにが起きたのか、まったくわからない。でも、そんな僕を無視するかのように、萌さんとキャラはもうすでに歩きはじめていた。軽く駆け足で萌さんたちに追いついた僕はとりあえず今見たものへの疑問をぶつけてみた。
「さっきのってなんですか?」
「なんのこと?」
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