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地球へ
その犬が鼻を向けた先は、黒地の宇宙を背景にして際立って青く、とんぼ玉のように見る者を魅了してやまない惑星だった。
「現地の人々は、『地球』と呼んでいるそうだな。素朴で力強い名だ」
犬は、ひと声吠えた。無駄話をしている時間はなかった。
「彼らのため、か。よし。準備が出来たら発進だ」
くるりと巻いた尾を声の主に向け、犬は射出機へと向かった。彼はせいていた。地球の各地で、かなしみが深まっているからだ。
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